日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: P-246
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学術講演集原稿
渓畔域におけるセシウム137の沈着量と生葉中濃度との関係
*金指 努和田 敏裕鈴木 紳悟森高 祥太薄 実咲難波 謙二
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抄録

森林を流れる渓流の生態系では、渓畔林から渓流へ供給される外来性有機物が重要な一次生産物の役割を担っている。そのため、渓畔林の放射性セシウム汚染レベルから、渓流生態系の汚染レベルを推定可能と考えるが、渓畔林における放射性セシウムの実態については知見が少ない。本研究では、福島県の中通り・浜通り地方を流れる10渓流の渓畔域にて、樹木の生葉・林床リター・表層 5cmの土壌を、2020年6~9月に採集し、セシウム137濃度を測定・解析し、3要素間の関係を明らかにした。生葉を採集した樹種は、イタヤカエデ、オニグルミ、コナラ、フサザクラ、スギであり、イタヤカエデは10渓流すべてでで、その他は3~6渓流で採集された。土壌―生葉におけるセシウム137の面移行係数は、樹種によっては調査地で大きく異なり、例えばイタヤカエデでは4.6×10-4~5.7×10-3と一桁異なった。しかし、生葉・林床リター・土壌のセシウム137濃度にはそれぞれ正の非線形関係が認められた。また、5渓流で測定されたイワナ・ヤマメのセシウム137濃度と上記3要素の間にも、それぞれ正の相関が認められたため、渓流生態系の放射性セシウム汚染レベルをできる可能性が示された。

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