日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: L5
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学術講演集原稿
中型猛禽類の営巣木選択-樹木をどのように計測するかー
*工藤 琢磨
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抄録

ミサゴ、トビ、オオタカ、ノスリの4種の中型猛禽類の営巣木をまとめて研究対象とした。営巣木と同等の大きさの対照木を選択して、これらの間で、7個の計測値を比較して、どこにどのような差があるか調べた。日本の東北地方太平洋側の岩手県中央部の盛岡市、滝沢市、そして八幡平市にまたがる範囲に調査地を100 km2の面積で設定した。2013年から2016年の間、冬季に1回、繁殖期に1回、調査区内の森林で巣の探索を行った。営巣木と対照木の計測は2016年に行われた。その結果、単変量解析では、営巣木は対照木よりも、巣を支持する枝の数が有意に多く、巣の土台の枝からその上の枝までの垂直距離が有意に長いことが明らかになった。しかし、他の5つの計測値で有意差は認められなかった。同様に、ロジスティック回帰分析では、ステップワイズ手順で単変量解析と同じ2つの計測値が採択された。これらの結果は、中型猛禽類は、巣の土台となる巣を支持する枝の数が多く、その土台の上に巣を積んで、さらに巣の出入りができる広い空間を有する樹木を営巣木として選択していることを示している。

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