主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
葉に含有される各種脂肪酸は、昆虫に対する餌資源のパラメーターであると同時に、短距離的な香気シグナルとしても機能している。しかし、これまで野外条件下でO3暴露をした場合の、実際の葉内脂肪酸の挙動は未評価であった。本試験では、シラカンバの葉に含まれる主要な脂肪酸(パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3))をGC-MSの評価対象とし、脂肪酸の季節変化及びO3暴露による影響を調査した。シラカンバの葉では、 春葉(5月→6月)、夏葉(6月→9月)ともに経時的に各種脂肪酸の含有量は減衰した。また、本試験の野外O3暴露(60~70ppm)では、春葉の展葉直後の5月 を除き、いずれの脂肪酸も対照区よりO3区で含有量がやや低い 傾向が認められた。 さらに、6月夏葉の明らかな脂肪酸増加に対して、対照区とO3処理区との差が経時的に小さくなる傾向にあり、O3暴露による光合成機能の低下や落葉の遅行化 など、O3暴露による間接的影響が要因であると考えられた。