主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
近年、各地で猛暑が発生しており、森林樹木の成長への影響が危惧される。50℃を越すような熱波に比べ、日本の冷温帯林で実際に発生している規模の高温条件が光合成能力に与える影響は明らかでない。光合成の高温影響は、高温障害を回避しようとする防御的反応と、高温で受けた損傷を修復して回復を促す反応の2つに大別されるが、この一連の反応は葉が持つ恒常性維持の機能としてリボソームが翻訳を介して統一的に調節している可能性が考えられる。他方、リボソームは葉内における窒素とリンの大きな養分シンクであることから、葉の養分不足は恒常性維持機能の低下を招くことが考えられる。恒常性維持機能の低下により、小規模な高温条件でも光合成障害の悪化や修復能力の低下によって回復が追い付かず、高温障害の後遺症となる可能性がある。本研究では、冷温帯の代表樹種であるブナを対象に、切り枝を用いて2時間の35℃加温処理を行い、その直後の光合成能力の低下と翌日の回復を調べて恒常性維持機能を評価するとともに、この恒常性維持機能の低下がもたらす後遺症と葉の窒素とリン濃度ならびに葉緑体リボソーム量との関係を明らかにした。