日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: P-245
会議情報

学術講演集原稿
北海道胆振東部地震により発生した表層崩壊地での初期の植生回復プロセス
*安藤 宏明Flavio Furukawa森本 淳子中村 太士
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

北海道胆振東部地震による表層崩壊地は44km²に達し大きな被害をもたらした。本研究ではUAVによる調査手法の開発、初期の植生回復が期待できる崩壊斜面の条件の解明、斜面崩壊後の管理指針への示唆を得ることを目的とした。崩壊地上の植生は崩壊前の林床植生が表土ごと崩壊地上に残存しているか否かで「残存植生」と「回復植生」に分類した。厚真町と安平町の計23斜面でUAVによる空撮調査を実施した。応答変数を回復植生の植被率、説明変数を崩壊地上の残存植生の植被率、崩壊地1m²あたりのリルの総延長、崩壊地周辺100m圏内の森林量としたGLMによる解析を行なった。UAVによる空撮写真に基づく被覆分類(最尤法)から十分な精度が得られた(総合精度89.8%)。崩壊地上の残存植生は植生回復に対して他の環境要因に比べ特に大きい正の影響をもたらしていた。植生回復に対しリルの総延長は負の影響、崩壊地周辺の森林量は正の影響をもたらしていた。残存植生はその根系が土砂を捕捉することで土壌とともに種子等の流亡を防ぎ水分・栄養分に乏しい崩壊地上に植生回復しやすい環境を作り出すと考えられることから、その保全が自然遷移による植生回復のために重要だと考えられる。

著者関連情報
© 2022 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top