日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: P-461
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学術講演集原稿
広葉樹萌芽株当年枝の放射性セシウム濃度のばらつきについて
*伊東 宏樹三浦 覚長倉 淳子平井 敬三金指 努
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抄録

福島県田村市都路地区で採取した広葉樹の当年枝のセシウム137濃度を統計モデルにより解析した。まず、コナラのみを対象として、(1)サイト変量効果が平均のみに影響するとしたモデルと、(2)平均と標準偏差の両方に影響するとしたモデルを作成した。常用対数変換したセシウム137濃度を目的変数として、それぞれのモデルにデータを当てはめ、新しくサイトが追加された場合を想定してWAICによりモデル選択をおこなったところ、WAICの値は両モデルで大きな差はなく、より単純なモデル(1)を採用できた。すなわち、標準偏差はサイト間で共通と扱ってよいことが示された。つづいてこの結果をうけて、全樹種を含めたデータを、サイトおよび樹種が平均に影響する変量効果として働き、幹の由来(植栽/萌芽)を説明変数とするモデルにあてはめた。その結果、当年枝セシウム137濃度のサイト内のばらつきは、樹種や由来の効果を除いて、通常スケールで38倍程度の範囲に95%の確率で収まると推定された。また、新しいサイトで当年枝セシウム137濃度を測定する場合、標本サイズがおおむね5以上あればサイト内の値の分布を適切に評価できると考えられた。

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