日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: E6
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学術講演集原稿
福島県相馬地方の3林分における間伐実施後の林床植生
*上原 巌
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抄録

 2011年3月に発生した福島第一原発での事故以来、福島県内においては今なお手つかずのまま放置されている森林が数多く存在している。森林における放射性セシウムの濃度も高い森林が存在するものの、その数値は漸減してきている林分も中にはみられる。

 そこで本研究では、2019年12月に福島県相馬市の約30年生のスギ人工林、2020年12月に南相馬市の約30年生のヒノキ人工林、2021年12月に相馬市のコナラ、クリを主とした広葉樹二次林においてそれぞれ本数間伐率50%での間伐を実施し、間伐前後におけるそれらの林床の植生変化について調査をおこなった。

 2019年におこなった30年生のスギ林の間伐では、翌年にはその林床で30樹種以上の新生の実生が、2020年のヒノキ間伐林では翌年に20樹種以上、2021年の広葉樹の間伐林では40樹種以上の実生が、それぞれの林床で翌年に確認された。

 いずれの間伐後も、パイオニアの陽樹をはじめ、風散布、鳥散布の樹木が確認され、間伐による自然散布樹木導入の効果がうかがえた。

 今後は、さらに間伐実施林を増やし、放射性セシウム濃度のモニタリングをおこないながら、天然更新による森林再生の可能性もうかがっていきたい。

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