日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: F1
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学術講演集原稿
ロングリード技術による針葉樹4種の全ゲノム解読
*白澤 健太三嶋 賢太郎平川 英樹平尾 知士坪村 美代子永野 聡一郎井城 泰一磯部 祥子高橋 誠
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抄録

針葉樹は世代時間が長く育種には時間と労力がかかる。ゲノム情報による林木育種の効率化が期待されるが、針葉樹のゲノムは一般に巨大で高いヘテロ接合性を示すため、長い連続したゲノム配列の構築は困難だった。本研究では、HiFiロングリードシーケンス技術を活用してカラマツ (Larix kaempferi)、ヒノキ (Chamaecyparis obtusa)、スギ (Cryptomeria japonica)、およびコウヨウザン (Cunninghamia lanceolata)の4種の針葉樹のゲノムアセンブル配列を構築した。それぞれのアセンブル配列の長さは13.5 Gb (カラマツ)、8.5 Gb (ヒノキ)、9.2 Gb (スギ)、11.7 Gb (コウヨウザン)で、平均して推定ゲノムサイズの99.6%をカバーした。配列の連続性を示すN50値はヒノキの1.2Mbからカラマツの16.0Mbまでとなり、アセンブル配列には陸上植物に保存されている遺伝子の89.2%が含まれていた。ヘテロ接合性に由来するもう一方のハプロタイプの配列長はアセンブル配列の70.3%-95.1%を占め、4樹種の高いヘテロ接合性が示唆された。本研究で得られたゲノム配列情報は、針葉樹の遺伝学とゲノミクスにおける基盤となり、林木育種を加速させることが期待される。

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