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第134回日本森林学会大会
セッションID: P-150
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学術講演集原稿
帯状伐採後18年が経過したヒノキ人工林の広葉樹群落について
*作田 耕太郎長谷川 未来
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抄録

 針葉樹人工林における樹高程度の幅での帯状伐採は広義の複層林施業の一つと定義され,林縁効果によって伐採面での下層木の樹高成長と植物多様性の保全などの効果が得られ,林分全体での林床植生の類型や多様性にも影響を与えるとされる。これまでに,帯状伐採後比較的短期間での植生の変化については単発的な研究事例が認められるが,10年を超える比較的長期間での継続的な研究事例は見当たらない。本研究では,広葉樹の導入を目的とする帯状伐採が施されたヒノキの同齢単純林において,伐採直後から18年間での林床植生の変化ついて検討した。

 2004年に樹高程度の幅で帯状伐採が施された福岡県糟屋郡新宮町の40年生ヒノキ人工林を対象とした。この林分では伐採1ヶ月後,1年後,8年後に林床植生調査が行われている。2022年11月に,これまでと同様な方法で林床の木本植物を対象とした調査を行った。

 対象林分では伐採後に先駆性樹木が多数侵入し,さらにヒノキ実生の偏在も認められていたが,18年後ではほぼ消失し,常緑広葉樹を主体とする群落となっていた。特に伐採面では常緑広葉樹が林冠を形成する群落が形成され,また階層構造も発達しつつあった。

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