日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-236
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学術講演集原稿
都市の緑空間の局所的な環境がイロハモミジの紅葉に及ぼす影響
*宇佐美 広祐戸田 浩人崔 東寿
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抄録

落葉広葉樹の紅葉は、光、温度、水分などの環境要因によって影響を受ける事が知られている。日本の紅葉を代表するイロハモミジ(Acer palmatum)は、造園木としても利用され、建物や周囲木による被陰、踏圧や林床管理による土壌変化などによる紅葉への影響が考えられる。本研究では、東京農工大学府中キャンパス内の多様な環境に生育するイロハモミジの紅葉フェノロジーと紅葉中のアントシアニン濃度を調査した。また、紅葉に影響する環境要因として、緑葉及び紅葉中の養分、光環境、土壌養・水分、地温などの測定を行った。その結果、紅葉開始から樹冠の80%が紅葉までの日数は、陽葉の緑葉から紅葉にかけての窒素転流濃度差や土壌水分と正の相関があり、秋期の光合成光量子束密度(PPFD)や赤色光/遠赤色光(R/FR)比および8・9月の地温と負の相関がみられた。したがって、周囲木などの被陰により光環境が制限される環境で、紅葉は遅くなり、より多くの窒素を転流し再利用するなど、紅葉は環境要因の影響を受け、養分保持にも関わることが示唆された。発表ではその他の環境要因との関係やアントシアニンと環境要因の関係なども報告する。

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