日本ファジィ学会誌
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スパニングツリーに基づく遺伝的アルゴリズムによる2目的輸送問題の解法
李 銀珍玄 光男
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1998 年 10 巻 5 号 p. 888-898

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抄録

本論文では, 輸送問題の新たな進化算法として, スパニングツリーのコーディングをベースにした新しい遺伝的アルゴリズムを提案する.輸送問題を解く進化算法として, 従来マトリックス表現がそのまま1つの染色体(いわゆる, 解)として使われてきたが, 大規模な問題に対しては, その解表現によるコーディングでは大量なメモリが必要とされ, またそれによる計算時間も大幅に必要であった.ネットワーク問題の1つの基本モデルである輸送問題は、その解構造において、スパニングツリーの特殊な構造性をもつ.ツリーコーディングに必要とするメモリと計算時間は, マトリックス表現より, 特に大きな問題に対しては, 少なくて済む.このような問題の特殊な構造性に基づいて、遺伝的操作としては交叉と突然変異を新たに設計し, これらの遺伝的操作による新しい染色体は常に輸送問題の1つの実行可能解を保ように保証している.また, 選択操作では, (μ+λ)選択とルーレット選択による混合選択法を活用している.提案するスパニングツリーベースの遺伝的アルゴリズムの有効性を確認するために, まず単一目的のみ考慮した場合の輸送問題を解くことによって新しいコーディング法と従来のマトリックス法との比較を行う.さらに, 2目的輸送問題を解くための提案手法を示し, その有効性を示す.

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© 1998 日本知能情報ファジィ学会
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