抄録
地域冷暖房システムでは, 一括して作られた冷水, 高温水が各顧客に供給されるので, 運転効率を高め安定した熱供給を行うためにはその負荷予測は必要不可欠である.本論文では, このような地域冷暖房システムの冷水負荷予測を目的として, さまざまな要因により実際の冷水負荷データに含まれる異常値や欠測値の悪影響を低減するためのロバストフィルタに対して, ロバストフィルタの数値的安定性の問題を改善する簡略型ロバストフィルタの提案を行うとともに, 時系列モデルとしてラジアル基底関数ネットワーク(RBFN)を用いた非線形自己回帰移動平均RBF-NARMAモデルを提案する.さらに, 本論文で提案するRBF-NARMAモデルとJ.T.Connorらが提案されたリカレント非線形自己回帰移動平均(NARMA)モデルを, 現実の地域冷暖房システムで得られた異常値や欠測値を含む冷水負荷データを用いた冷水負荷の長期予測に適用して予測結果の比較を行うことにより, 提案したモデルの有効性を検証する.