1999 年 11 巻 4 号 p. 690-694
本研究では、ITS施策の一環である交通情報提供システムを念頭に、経路選択行動を行うドライバーが、提供された情報と自身の有する知覚を用いて選択肢を評価するメカニズムを表現するため、ファジィ積分を効用関数に用いた非集計ロジットモデルを構築する。その結果、選択肢の評価に用いられる属性が互いに独立でなく、評価の重み係数が互いに加法性を有していない場合、線形効用関数を用いた通常のモデルでは符号条件に整合性をもつパラメータが得られないのに対し、ファジィ積分型効用関数を用いたモデルでは整合性をもつパラメータを得ることができた。このことから、複数の属性に対して情報が提供される場合のドライバーの行動分析において、重み係数をファジィ測度として捉え、ファジィ積分を効用関数に用いて選択行動モデルを構築する意義があることが示された。