日本ファジィ学会誌
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特殊化の度合の異なるファジィルールにおける暗黙の階層構造を用いた多入力システムの言語的モデリング
石渕 久生中島 智晴
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2000 年 12 巻 1 号 p. 114-126

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抄録
ファジィルールを用いて多数の入力変数を持つ非線形システムをモデル化する場合, 入力変数の数の増加と共にルール数が爆発的に増加するという問題が生じる.個々のファジィルールの持つ明確な言語的意味を失うことなくルール数の爆発的増加を抑えるためには, 条件部に少数の言語的条件を持つ一般的なファジィルールを用いる必要がある.このような一般的なファジィルールは, 条件部に多数の"don't care"を含むので, 多次元入力空間の広い範囲を覆うことができる.そのため, 少数のファジィルールで多次元入力空間全体を覆うことができる.しかし, 一般的なファジィルールだけでは, モデリングの対象となる非線形システムの複雑な形状を表現することができない場合もあるので, 条件部に多数の言語的条件を持つ特殊なファジィルールも必要となる.このような特殊なファジィルールは, 入力空間の狭い領域内での非線形システムの局所的な形状を表現することになる.したがって, 多次元非線形システムに対する我々のファジィモデルは, 特殊化の度合の異なるファジィルールから構成されることになる.本研究では, まず, 特殊化の度合の異なるファジィルールを用いたファジィ推論について議論する.次に, 特殊化の程度が高いファジィルールほど優先的にファジィ推論に用いられるという暗黙の階層性を実現するためのファジィ推論法を提案する.さらに, いくつかの例題を用いて, 我々の直感的な理解と一致した推論結果が提案したファジィ推論法により得られることを示す.最後に, 提案したファジィ推論法と遺伝的アルゴリズムを用いた数値実験により, 数値データから少数のファジィルールが獲得されることを示す.
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© 2000 日本知能情報ファジィ学会
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