日本ファジィ学会誌
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非階層的クラスタリング手法による対称巡回セールスマン問題の近似解法
久保 正男和田 充雄嘉数 侑昇
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2000 年 12 巻 6 号 p. 786-796

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抄録

巡回セールスマン問題(TSP)への階層的な領域分割にもとづくアプローチの問題として、都市分布が均一な場合に精度が落ちることが指摘されている.本論文ではこれが分割過程の強固な階層性がもたらすものであると考え、非階層的な領域分割に基づくモデルの必要性を指摘している.この実現の為の一手法として著者らは非階層的なクラスタリングのダイナミクスを検討している.これは複雑な挙動を示す多変量解析手法の一つであるがその再帰的なクラスター生成能力によって柔軟な領域分割がもたらされる場合があることが知られている.また強い相互作用によって系全体がローカルミニマに収束しにくい設定が可能であることが期待される.そこで、著者らはこの注目すべき特徴をTSPに利用できるよう新しい問題表現を導入しモデル化を行っている.このモデルの挙動、性能を検証するために各種実験をおこなっており、システム特性、TSPLIBに含まれるテストデータによる比較、均一なデータ分布問題に対する良好なロバスト性、また動的な問題への対応能力について検証している.

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© 2000 日本知能情報ファジィ学会
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