2001 年 13 巻 3 号 p. 280-
現在の医療現場において、MRIやCT装置の利用は必要不可欠な診断手段である。それに伴い計算機による診断支援システムの構築が行われてきたが、画像診断は専門家である医師の知識に負う所が多いため、容積測定や立体表示の自動化は困難であった。そこで、本研究では医師の知識をファジィインフォメーショングラニュレーション(ファジィIG)の概念に基づいてファジィモデル化した医用画像処理法を示した。本論文は、第2章:頭部MR画像からの全脳領域抽出の為のファジィIGによる自動しきい値発見法、第3章および第4章:ニューラルネットワークおよびファジィIGを用いた頭部MR Angiography画像からの脳血管領域抽出法から構成される。さらに第5章で提案した医用画像処理法を核とした脳機能診断支援システムを構築し、実際の臨床例を用いてその有用性を検証した。本研究では、ファジィIGを医用画像処理に応用することで、個人差や症例差が激しい臨床例にも適用できた。