日本ファジィ学会誌
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カオス理論に基づいた自動車エンジンの燃焼圧力の予測
藤本 泰成五百旗頭 正
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2001 年 13 巻 5 号 p. 506-513

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抄録

近年, 自動車メーカは低公害かつ低燃費の自動車の開発に大きな努力を続けている.低公害かつ低燃費を実現するための最も重要な研究の一つは, 実用性を損なわず可能な限り少ない燃料で理想的な燃焼が得られる希薄燃焼エンジンの研究である.しかし希薄燃料で正常に駆動する許容範囲は狭い.もし許容範囲を超えて燃料が希薄になると, 燃焼状態が不安定になる.不安定な燃焼状態は, エンジンのトルク変動や排気ガス中における窒素酸化物の増加となる.このような問題を解決するため, 従来では燃焼不具合を検知して燃料の空燃比を調節する手法が行われている.一方, 燃焼不具合を予知した制御方法は提案されていない.一般的に予測制御の方法は多くの優れた特徴を持つが, 高い予測精度を要求される.エンジンの燃焼状態を予測することは, 非常に困難である.近年, 非線形力学系を取り扱う理論としてカオスが注目され, 研究が精力的に進められている.今回我々は, 自動車エンジンの燃焼状態を予測する手法として, カオス理論を適用した.これは一定負荷における燃焼圧時系列データを用いて, 次に燃焼するシリンダーのピーク圧力を予測するものである.本論文では研究の目的と手法, および結果を示す.

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© 2001 日本知能情報ファジィ学会
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