日本ファジィ学会誌
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ファジィ制御とSOMの活用による配電用変電所母線電圧の維持と送電損失の低減(SOMとその応用)
乾 正博杜 紅中元 俊平大木 誠大北 正昭
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2002 年 14 巻 2 号 p. 176-189

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抄録
電力系統に点在する変電所の母線電圧は、調相設備を使用した無効電力制御により規定範囲に維持されている[1]〜[3]が、母線電圧の維持を目的とした制御を行っているため、電圧が規定範囲の上下限付近となっても調相設備の開閉制御が行われず、無駄な無効電力が発生している場合がある。この時、これらの無効電力が大きく、しかも変電所間の送電距離が長い場合は、その間で発生する送電損失も増大することになる。筆者らは、ファジィ推論[4]を用いた調相設備の最適制御を試み、変電所の母線電圧を目標電圧付近に維持すると同時に、無駄な無効電力の発生を抑制して送電線での送電損失を低減する検討を行ってきた[5]〜[8]。しかし、ファジィ推論ルールのチューニングに過去の実測データを用いたので、当日の気象状況などの変化により電力需要変化が異なった場合などには、得られたルールが不適なものとなり、期待した制御結果とならない事例が発生した[7]。本論文においては、多次元データの分類に効果的な技術として知られている自己組織化マップ(SOM)[11]〜[13]を用いて配電用変電所の母線電圧と電力需要の変化予測を行い、この予測結果を最急降下法を用いたファジィ推論ルールのチューニングに適用することにより、通常と異なる電力需要の変化に対応した調相設備の制御を実現できることを示した。
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© 2002 日本知能情報ファジィ学会
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