抄録
本論文で扱うファジィ数間の積演算は,sup-min型の拡張原理に基づくものである。またファジィ数の定義は,正規性およびサポートの有界性の他に,メンバシップ関数が狭義単調かつ連続であるものとして与えられる。ただし正または負のファジィ数に限定せず,サポートが正負にまたがるものも議論の対象とする。はじめに,ファジィ数の全体から成る族が積演算に関して閉じていることが証明される。次に多項式タイプおよび区分的多項式タイプのファジィ数が定義され,これらの族が積に関する閉性をもつ部分族であることが示される。次いで,積に関する閉性をもつ本論文で最も小さい部分族として,三角型ファジィ数から生成される多項式および区分的多項式タイプの族が提示される。この最後に提示された族に対しては,正または負のファジィ数の場合は,任意の次数の区分的多項式タイプのものに対して乗算の計算公式が与えられ,サポートが正負にまたがるファジィ数の場合は,特に三角型に対して計算式が与えられる。