抄録
ファジィID3に基づくファジィモデリングは簡便に入力変数を選定できるモデリング手法として利用されている。ファジィID3の問題点は、空間分割のファジィ化に際して人の経験が十分でない場合には、ファジィ分割ができない点にある。この問題を解決するために、データの持つ情報量を基にしたファジィ分割法が開発された。この方法は、ファジィ分割に情報量の期待値の形状を利用することを特徴とし、ファジィ分割に人の経験を必要としない。しかし、情報量の形状からメンバーシップ関数を決定する根拠はあいまいであり、メンバーシップ関数決定の一つのガイドラインが示されたにすぎない。本論文では、ファジィID3におけるメンバーシップ関数決定の合理的な決定法を提案する。本手法は獲得情報量のファジィ化を行い、獲得情報量のスムージングによりファジィ分割を決定し、また、そのメンバーシップ関数をファジィモデルに適用する。本手法はファジィ技法の特徴であるデータのスムージングとルール間の補間に基づくことで、メンバーシップ関数決定に明快な視点を導入する。本手法を酸素濃度推定モデルの同定問題に適用し、情報量の期待値の形状に基づく従来法よりも良い結果が得られることを示す。