日本ファジィ学会誌
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システムの事故の定性的表現とその信頼性解析
鬼沢 武久
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1990 年 2 巻 2 号 p. 231-245

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抄録
システムの事故の経過を定性的に表現することは比較的容易である。本論文では, その定性的表現をもとにシステムの信頼性解析を行うには, 次の点からファジィ理論の応用が必要であることを述べる。1)定性的表現には多くのあいまいな語句が含まれる。2)特にシステムが複雑, 大規模になると, 機器の故障やヒューマン・エラーがシステムの事故に関係してくるかどうか明確に表現できない場合がある。3)機器の故障やヒューマン・エラーについて細かく分析していくと解析がむずかしくなる。そのためマクロ的に扱うことが必要であるが, このマクロ的な扱いにもあいまいさが関係してくる。本論文ではまた, 信頼性解析を行うために必要なAND演算, OR演算, 従属性の演算の他に, 機器の故障やオペレータのエラーなど, 事象の不都合がシステムの事故につながる可能性などを考慮したあいまいさの演算, また, こういった事象の不都合自体はシステムの事故に直接つながらないが, 別の事象の不都合に影響し, システムの事故に関係してくる場合の演算についても述べる。最後に, オペレータがバルブなどを操作して高圧原料の流量を増やす作業についての解析例を示す。
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© 1990 日本知能情報ファジィ学会
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