抄録
第一に、人の推論の仕方を考察し、ファジィ推論が必ずしも陽に現れていない複数の規則を前提にして行われていることを述べる。第二に、通常の AND, OR, NOT に算術演算を加えた論理系を導入する。この論理系において、単調性を満たす無限多値関数を考え、ファジィ(無限多値)しきい値関数を定義する。第三に、人の推論において単調性を仮定し、ファジィしきい値関数を用いて推論の規則表を表現する。次にこれを用いて近似推論を行う方法を述べる。第四にこの推論方法を制御に応用し、いくつかの事例について Max-Min 重心法によるファジィ制御と比較・検討を行う。理論展開の中で、ファジィしきい値関数は多値しきい値関数を特殊な場合として含むこと、よって、任意の多値しきい値関数の表現式が簡単に得られることが示される。