抄録
本論文では、n人協力ゲームにおいて提携の満足度という概念を導入し、この満足度をファジィ集合で表現する。その結果、ゲームはプレイヤー全体の集合Nと利得に対する満足度を表すファジィ集合のメンバシップ関数μと利得の総和Gの3つの要素(N, μ, G)で表現される。ゲーム(N, μ, G)において、Bellman と Zadeh のファジィ決定を用いて、このゲームに適した解を提案する。さらに、従来のゲーム(N, υ)における特性関数υを用いてメンバシップ関数を構成する。このことは、ゲーム(N, υ)をゲーム(N, μ, G)に拡張することを意味する。メンバシップ関数が、線形のみの場合と、非線形な関数として正接双曲線型のメンバシップ関数のみの場合のそれぞれについて線形計画問題として定式化し、提案した解の計算方法を示す。また、線形、正接双曲線型を含み、指数型、逆正接双曲線型、区分的線形型の5つのタイプのメンバシップ関数を各提携に対して任意に割り当てた場合について考察する。この問題は非線形性をもつが、2分法と線形計画法併用することによって解の計算方法を示す。最後に、数値例を示し関連する解である仁と比較し、提案した解の性質について検討する。