抄録
近年、曖昧な情報を扱うことのできる情報システムへの必要性が非常に高まってきている。例えば、曖昧なデータや問い合わせを扱うことのできるファジィデータベースが数多く提案されている。しかし、データベース管理システムとのインタフェースを考えると、こういったデータベースシステムを使い慣れていない人達にとっては、これらのインタフェースは決して使いやすいものとは言えないだろう。そこで我々は、ユーザの問い合わせが本質的に持っている曖昧性についての分析を行い、さらに人間指向的な問い合わせとはどのように表現されるべきかについての研究を進めている。本論文では、従来最小・最大演算が用いられていた and/or 演算に、新たに平均演算子を用いることによって我々の感覚にあった計算法を提案する。さらに曖昧問い合わせを支援するために、複数の属性から導出される複合ファジィ属性と呼ぶ曖昧属性を提案し、さらにその生成方法について述べる。また、問い合わせに曖昧性が含まれると、膨大な計算のために検索に時間がかかってしまう。そこで我々のシステムではクラスタ検索技術を用いて、この検索時間を短縮している。これらの理論に基づき、ファジィ検索システムを Sun3 ワークステーション上にC言語を用いて実現した。そして、このシステム構成とユーザインタフェースについても述べる。