日本ファジィ学会誌
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自然言語を用いたシステムの信頼性解析におけるファジィ集合の演算について
鬼沢 武久
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1993 年 5 巻 1 号 p. 43-54

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抄録
システムの信頼性解析に専門家の主観や自然言語を導入する場合, ファジィ集合の演算について検討する必要がある。なぜなら解析結果に対する言葉による表現は専門家の主観によるからである。本論文はファジィ集合の演算についてファジィ信頼性解析の観点から考察を加える。本論文ではファジィ集合の演算としてそれぞれ, 最小 t-norm (激烈積)から最大 t-norm (論理積)までの範囲, 最小 t-conorm (論理和)から最大 t-conorm (激烈和)までの範囲をカバーする, パラメータ化された t-norm, t-conorm を考えている。システムの信頼性解析の観点からすると, 最小の t-norm, t-conorm は最も楽観的な演算を意味し, 最大 t-norm, t-conorm は最も悲観的な演算を意味する。つまり, 最も楽観的な信頼性解析のモデル化から最も悲観的な信頼性解析のモデル化までがパラメータ化されたファジィ集合の演算によって可能となる。最後に, 例題によって3種類の主観的な信頼性解析の結果について比較検討し, 別な観点からパラメータ化された演算の意味を論じている。またこの例題によって, パラメータ化された演算は評価者の主観や過去の経験に基づいた感覚的知識を反映していることも示す。信頼性評価にだけでなく, ファジィ集合の演算にも専門家の主観を導入することによって, 主観的な信頼性解析が行える。
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© 1993 日本知能情報ファジィ学会
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