抄録
ファジィ制御が実用化されて以来、日本では多くの産業分野でプロセス制御への適用が進められている。このファジィ制御を実現する上で最大の課題は、知識の獲得である。そのため、多くの研究者により、最適化手法やニューラルネットワーク技術などによる設計、調整の自動化の研究が行われている。しかし、実用化の観点から考えると、そのモデルはしばしば複雑になる。その結果、ファジィ制御の設計が容易で、理解しやすく、かつ言葉で表現できるという特長を損なう問題点が生じている。そこで、プロセス制御への適用を目的に、ファジィ制御の特徴を考察する。まず、プロセス制御では、不明確化なプロセスの特性の存在やその変化などの事情により、オペレータの監視、操作を必要としていることを示す。そのため、完全な設計情報を得ることが難しく、オペレータの監視、操作にはファジィ制御システムを理解できることの重要なことを述べる。本論文では、これらの要求に応えるものとして、操業ノウハウと操業データに基づく制御規則とメンバーシップ関数の設計、調整、評価方法を提案する。そして、運用時にオペレータにより制御規則やメンバーシップ関数の調整を行うために、ファジィコントローラの持つべき機能についても論じる。