抄録
ファジィ制御を用いて制御器を構築する場合に, ファジィ制御規則が制御器に与える影響は大きく, 制御器に合ったファジィ制御規則を用いなければ, ファジィ制御の結果とその望ましい出力との間の誤差が生じてしまう.ファジィ制御器から生じる誤差を低減する方法の一つとして, ファジィ制御規則を修正する方法がある.その際, 試行錯誤を操り返し最適な制御を行なうことができるファジィ制御規則を求めている場合が多い.本論文では, 発生する誤差に着目し, その誤差情報を使ってファジィ制御規則の修正量を推定する方法を述べる.ファジィ制御器を2つ用いてそれぞれに違うファジィ制御規則の修正量で制御を行う.修正量に対する二乗誤差を比較し, 誤差の小さいファジィ制御規則の修正量を出力用制御器のファジィ制御規則の修正量とする.出力用制御器と比較するための制御器のファジィ制御規則の修正量は乱数で与える.二乗誤差を比較しながらファジィ規則修正量を選ぶ処理を繰り返すことにより, 誤差の小さいファジィ制御規則の修正量を推定することが可能となる.本論文のシミュレーションでは, 最初にインディシャル応答を求め, 定値制御にファジィ制御規則の修正が有効であることを明らかにする.次に追従制御にファジィ制御規則の修正が有効であることを示す.そして, 追従制御の目的信号の変化として固定された周波数の正弦波を用いる場合に位相ずれの誤差の低減が可能であることを確かめる.また目的信号の変化の方向が徐々に変化する正弦波ではなく, 一定値で増加や減少する場合や, 変化の方向が大きく変化する三角波を用いる場合も誤差の低減が可能であることを確かめる.