日本ファジィ学会誌
Online ISSN : 2432-9932
Print ISSN : 0915-647X
ISSN-L : 0915-647X
ファジィクラシファイアシステムによる知識発見に関する一考察
古橋 武中岡 謙森川 幸治前田 宏内川 嘉樹
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 7 巻 4 号 p. 839-848

詳細
抄録
本稿では経験則を持ったオペレータが存在しない状況で、多入力システムに適用可能なファジィ推論システムについて検討を行う。最近、機械学習の新たな枠組として、クラシファイアシステム(Classifier System : CS)が注目されている。このシステムは、遺伝的アルゴリズムを用いてルールを生成するプロダクションシステムである。このCSにファジィ推論とファジィルールベースを導入したファジィクラシファイアシステム(Fuzzy Classifier System : FCS)は、連続値を扱うことのできるシステムである。このFCSでは、制御ルール表のファジィルール1つ1つを染色体としているので、対象問題が多入力となっても染色体の規模を幾何級数的に増大させることなく対応できる可能性を持つ。しかし、従来は1入力1出力の関数近似にFCSが適用され、このシステムの有用性が連続値を扱えることにあるとされているに過ぎなかった。従って、多入力システムの同定に際して重要となる各ファジィルールへの信頼度割り当て手法についても検討がなされていなかった。本論文では、FCSを多入力システムに適用し、FCSの特長がファジィルールの発見能力にこそあることを示す。船の衝突回避操船問題を具体例としたシミュレーションを行い、操船の成功・失敗のみの報酬によりFCSが制御ルールを発見できることを示す。また、この問題の解法に適した信頼度割り当て手法について検討する。本手法により、従来獲得が困難であった多入力変数間の知識を表現しているファジィルールを発見することができる。
著者関連情報
© 1995 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top