1996 年 8 巻 6 号 p. 1096-1103
DCサーボモータの位置制御性能は、制御則に大きく依存するとともにパラメータ変動や外乱トルクの影響を大きく受ける.一般に、サーボモータ制御ではモータの数学モデルが用いられるが、正確にモータパラメータを測定することは難しく、また、これらの値は温度上昇や磁気飽和等の運転状況によって変化する.以上の理由から、近年外乱トルクやパラメータ変動の影響を補償するための等価外乱トルクオブザーバを用いた制御手法が提案されており、サーボモータの高性能化が達成されている.しかし、等価外乱トルクオブザーバにより推定された外乱トルク推定値には、種々の要因により推定誤差が存在する.したがって、より高性能制御を望むならば、この推定誤差の影響を考慮した制御法が必要である.本論文では、等価外乱トルクオブザーバとフィードバック制御を併用したDCサーボモータのロバスト位置制御法を提案する.本論文では、外乱トルクオブザーバの推定誤差の影響を、ファジィ推論機能を利用した適応フィードバックゲイン制御器によって抑制する.提案手法の有効性は、コンピュータシミュレーション及び実験によって検証されている.