ビデオカメラの重要な機能の一つに, 映像輝度を調節するオートアイリスがある.この論文では, 色の情報を用いたオートアイリスの露光制御方式について検討する.現在のオートアイリスは, 画像処理によって, 逆光や過順光の状態にある被写体を検出し, 被写体が適切な露光になるように補正することで, 被写体に重点をおいた露光制御を行なっている.この逆光・過順光補正には, 適切な被写体の輝度を得ようとすると, 背景が犠牲になってしまうという問題がある.しかし, これまでに提案されてきた露光制御方式では, 背景の重要性を考慮せず, 逆光・過順光の度合のみに基づいて, 補正量を決定している.これは, オートアイリスが輝度信号から情報を得て, 露光を制御しているので, 輝度情報だけでは, 背景の重要性を判断することが難しいことによる.提案する露光制御方式では, 画素の色相と彩度を利用して, 背景の重要度を求め, ファジィ推論を用いることで, 総合的に補正量が決定される.従来の方式と提案する方式によるオートアイリスのシミュレーション実験を行ない, 被験者による評価試験を通して性能を評価する.
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