日本ファジィ学会誌
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多値論理に基づく因果ネットワークモデルにおける真理値制約の伝播
山田 耕一
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1997 年 9 巻 1 号 p. 89-98

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抄録

本論文では多値論理に基づく因果ネットワークとそれを用いた推論を提案する.提案するネットワークは命題あるいは事象間の因果関係の構造を記述するもので多値論理ネットワークと呼ばれる.確率ネットワークと同様に非循環有向グラフで表現されるが, 多値論理ネットワークでは各ノードが[0,1]間の真理値を持つ命題を表し, 各アークは[0,1]間の真理値を持つ含意を表す.本論文では多値論理ネットワーク上の一部のノード(決定ノードと呼ぶ)に真理値の制約として区間真理値が与えられたとき, 他のすべてのノードにこれらの制約を伝播しすべてのノードの区間真理値を求める問題を扱う.本多値論理ネットワークにおける区間真理値の伝播はルカシェヴィッツの無限値論理を用いた因果推論に基づいて定義されており, 各ノードの真理値は対応する事象の生起の強弱を表すと解釈できる.本論文ではまず, 因果推論に基づく区間真理値の伝播を議論・定義し, 区間真理値の伝播においては決定ノードを境にネットワークを幾つかのサブネットワークに分割できることを示す.次に分割によって生成されるサブネットワークを単一結合ネットワークと多重結合ネットワークに分類し, それぞれにおける区間真理値の伝播を詳細に議論する.最後に多値論理ネットワークにおける区間真理値の伝播アルゴリズムをまとめ, 数値例を示す.

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© 1997 日本知能情報ファジィ学会
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