抄録
一般輸送問題は, 従来の輸送問題に輸送手段を追加した, より現実的な輸送問題である.この一般輸送問題は, 従来の輸送問題とともに進化し, 最近では多目的関数化やファジィ計画手法の導入が報告されている.他方, 遺伝的アルゴリズムが最近, 組合せ問題の有効な解法の一つとして注目されている.また, 多目的最適化問題に遺伝的アルゴリズムを適用した各種手法も提案されている.特に, 現実的な環境では, 産業構造や経済政策変動などの何らかの要素の影響で問題を定式化するための確実なデータを把握しにくし問題点が存在する.そのため, ファジィモデルに定式化し, 各種のファジィ計画手法を用いて解く試みがさかんに行われている.しかし, これらの手法の多くは何らかの方法でファジィ数を確定値に変換したモデルを通常の計画手法を用いて解くため, ファジィ数のもつ多くの情報をスポイルする危険性を含んでいる.さらに, 多目的最適化問題において本質に関わるパレート最適解集合を如何に取り得るかが問題になる.本論文では, 多目的一般輸送問題をファジィ数を用いてモデル化し, その解法として従来の遺伝的アルゴリズムに, 積分値に基づくファジィ数の順序づけと競合する複数の目的関数の処理法を組み入れた改良遺伝的アルゴリズムを提案する.これによりパレート最適解集合を直接求めることが可能となるとともに, 意思決定者の満足度に対応する最良解を容易に提供できるようになる.さらに, 数値実験により提案する手法の有効性を確認する.
