機能水研究
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中性電解水を用いた義歯および口腔内洗浄による 要介護高齢者の口腔内環境の改善
永松 有紀永松 浩村上 繁樹池田 弘山本 恵子小園 凱夫清水 博史
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2017 年 13 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
優れた殺菌効果を示す次亜塩素酸水(以下、電解水)による要介護高齢者の口腔内環境の向上を目的に、中性電解水による要介護者の義歯と口腔内の洗浄を行い、微生物等による汚染レベルの指標となる義歯付着アデノシン三リン酸(以下、ATP)量と口臭レベル(6段階評価)の変化から有用性を検討した。被験者20名36義歯に対する中性電解水中での2分間の超音波洗浄の結果、ATP量は66.1±27.6%減少した。義歯ごとにATP減少率は大きく変動したが、全36義歯でATP量は減少し洗浄・除染効果がみられた。さらに、6名9義歯にブラシ洗浄と超音波洗浄を追加した場合、全9義歯でATP減少率が95%以上に上昇した。義歯の汚染度に応じたブラシ洗浄や処理の延長により洗浄・除染効果が向上することがわかった。義歯と口腔内の洗浄後の口臭レベルは、処理前に「口臭は感じない~軽度」(レベル0~2)と判定された被験者で無変化の場合もあったが、「中程度(すぐに悪臭と感知)」(レベル3)であった2名が処理後「非常に軽度~軽度」(レベル1~2)に改善し、すぐに悪臭と感知される被験者はいなくなった。 以上の結果より、中性電解水による超音波洗浄は要介護高齢者の義歯に高い洗浄および除染効果を示すとともに、口腔内洗浄との併用で口臭抑制効果も示した。簡便で安全性の高い中性電解水は要介護高齢者の口腔内環境の改善に有用であることが示唆された。
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© 2017 日本機能水学会
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