鉄筋コンクリートといった近代素材が可能にした高層建築やモータリゼーションの結果としての企業ランドスケープとの出会いは、日本の庭を変貌させずにはいなかった。このような情況をいちはやく認識し、積極的に日本庭園の新しい造形に取り組んだひとりに、イサム・ノグチ (1904-88) がいる。彼は、日本文化とアメリカ文化双方をみずからの活動の場とした彫刻家/デザイナーである。日本庭園の伝統に強く惹かれたノグチは、現代空間にそれをどのように取り込むかという問題にあたって、「日本庭園の近代化」という道を切り拓いたのである。