日本庭園学会誌
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遺存植物体の分布状況の分析に基づく浜御殿庚申堂鴨場の植栽の復元的考察
宮内 泰之藤井 英二郎仲 隆裕浅野 二郎
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2000 年 2000 巻 9 号 p. 1-8

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抄録
浜御殿庚申堂鴨場の池底の堆積土に含まれる遺存植物体の分布状況を分析し、庚申堂鴨場の植栽および土地利用状況に関して復元的考察を行った。堆積土にはイネ等の作物や耕地雑草の遺存植物体が多く含まれていた。木本植物は、マツ類やヒノキ等の針葉樹の遺存植物体が池下手を中心に含まれていた。以上の結果、鴨場に池が掘られる以前には水田や畑が作られ、外縁部には針葉樹が植栽されていたことが推定された。この結果は当時の絵図や文献とも一致し、かつて存在した「御殿」からの景観をも示唆するものであった。また、汽水生のコアマモの遺存植物体も多く含まれていたことから、鴨場の地が昔から海水の影響を受けていたことも推定された。
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