2009 年 2009 巻 20 号 p. 1-19
陳の眞諦(499-569)が559年に漢訳した『立世論』(『佛説立世阿毘曇論』)には、須彌山の山頂にあるといわれる帝繹天の善見城について、説明が見られる。それは、非常に詳細かつ体系的であり、仏教の都市や園林に関連して研究を行うときには必ず目を通しておくべき情報である。本稿では、その内容について、初歩的な考察ならびに特に重要と思われる箇所の訳出を行った。善見城は、正方形の都市で、多くの園林がある点と「善法堂」と呼ばれる集会堂がある点を大きな特徴とする。園林は、豪華なもので「方池(四角い池)を主要な構成要素とする園林」であり、日本庭園を含める東アジアの古代園林とは異なり島や築山は見られない点などが注目される。