2018 年 35 巻 p. 3-83
地域の一般住民が、政策の立案過程のみならず実行過程にまで参加する「住民参加」の新しい方式として、鳥取県智頭町では「百人委員会」という試みがなされている。百人委員会は、町長のイニシアティヴのもと、平成20 年(2008 年)に発足した。その特徴は、次のとおりである。 <br> ①百人委員会の委員には、満18 歳以上の町民か、町内の事業所で働いているならば、だれでも応募できる。<br> ②商工・観光、生活・環境、保健・福祉・医療、農林業、教育・文化など、行政のほぼ全域にわたる部会が設置されている。 <br> ③百人委員会で立案された政策は、民主的な取捨選択を経るが、なるべく多くの政策に対して「予算措置」されることが約束されている。 ④百人委員会の委員は、政策立案にとどまらず、行政職員とともに政策の実行・実現にも当たる。 <br> 本論文では、百人委員会が設置されるに至った経緯、設置後の7 年間の経緯(平成26 年度まで)を報告する。それを踏まえて、新しい住民参加方式としての百人委員会の意義を明確にし、今後の課題を検討する。