地学雑誌
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小特集「フィリピン・ルソン島のイロシンカルデラとブルサン火山の地質と最近の噴火活動(その2)」
小特集「フィリピン・ルソン島のイロシンカルデラとブルサン火山の地質と最近の噴火活動」の概観
奥野 充レナート ソリデュム ジュニアマリア ハナ ミラブエノクリストファー ニューホール下司 信夫須貝 俊彦田中 明子小林 哲夫
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2014 年 123 巻 5 号 p. 733-738

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抄録

ブルサン火山複合体(BVC)を構成するイロシンカルデラとブルサン火山は,フィリピン共和国のルソン島南東端に位置する。この論文は,小特集「フィリピン・ルソン島のイロシンカルデラとブルサン火山の地質と最近の噴火活動」(その1)と(その2)に掲載された論文について,その概要を述べたものである。Moriya(2014)は,フィリピン諸島の84火山の地形発達史を予察的にまとめており,フィリピンの火山の概要を理解することができる。Kobayashi et al. (2014a, b)は,カルデラ形成噴火の推移を明らかにしており,Kobayashi(2014)では,姶良カルデラと比較して両者の共通性を明確にしている。Danhara et al. (2014)は,イロシン火砕流および関連する堆積物の岩石記載的特徴を報告している。Komazawa et al. (2014)は,カルデラ壁に対応する急勾配が地下にも存在することをブーゲー異常図から示している。Takashima and Kobayashi (2014)は,イロシン火砕流とそれに伴う降下火山灰(co-ignimbrite ash-falls)について,36±8 ka, 38±10 ka, 33±8 ka, 45±10 kaの熱ルミネッセンス年代を報告している。Mirabueno et al. (2014)は,カルデラ内のボーリングコア試料から火砕流堆積物1層と降下テフラ12層をみいだしている。Kinoshita and Laguerta (2014)は,ブルサン火山やマヨン火山で実施されている噴煙映像観測の方法・結果を紹介している。Delos Reyes et al. (2014)は,ブルサン火山2006-2007年噴火による降下テフラの分布と岩石記載的特徴を報告している。Taguchi et al. (2014a)は,ブルサン火山周辺の温泉と冷泉を紹介している。

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