地学雑誌
Online ISSN : 1884-0884
Print ISSN : 0022-135X
ISSN-L : 0022-135X
表紙
サルミエント化石の森
ジャーナル フリー

2020 年 129 巻 1 号 p. Cover01_01-Cover01_02

詳細
抄録

 写真は,南米アルゼンチンのパタゴニア南部の大平原に露出する新生代暁新世(約6500万年から6200万年前)の地層から洗い出された巨大な珪化木である.場所は,アルゼンチン共和国チュブ州サルミエント市郊外にある「サルミエント化石の森」と呼ばれる自然保護区(南緯45度47分,西経68度57分)である.1880 haもの広大な敷地内には,火山灰や灰色,赤色,紫色をした砂岩層が現れていて,遊歩道沿いで地層から洗い出された無数の珪化木を見ることができる.この化石の森は,1927年に発見され1970年代頃から観光地となっていたが,2001年に州の自然保護区に指定された.ヤシ類やシダ類,針葉樹など幹からなる珪化木は,大きなものでは直径1 m大,長さ数mに及ぶものがある.この地域は昼夜の寒暖の差が激しく,地層や化石にひび割れができやすい.厳冬期には,珪化木の割れ目にしみ込んだ水分が凍結・膨張して,珪化木を細かく破壊する.その砕けた無数の小片が,まるでウッドチップのように地面を覆っている場所もある.

(写真・説明:平田大二)

© 2020 公益社団法人 東京地学協会
次の記事
feedback
Top