地学雑誌
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表紙
東日本大震災の諸事象を,他地域や未来にも有用な記録として残す
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2021 年 130 巻 2 号 p. Cover02_01-Cover02_02

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抄録

 巨大複合災害である東日本大震災の発災の象徴として,津波市街地浸水と原子力発電所事故をそれぞれ写真で示す.

 堤防を越えた津波(上):発災要因として,広範囲・大規模に押し寄せた津波が重要である.第一説明者による岩手県宮古市撮影動画分析から,閉伊川河口では,引き波で地震発生31分後に約1 m水面が低下して川底の一部がみえていた.その後,押し波は,宮古湾から閉伊川を遡って水位を徐々に増加させ,地震発生37分後に3.5 m高の堤防(天端高約5 m (TP))を越え,当時の市庁舎周辺の市街地を浸水させはじめた.津波は,市街地にさらに流れ込み,地震発生42分過ぎに最高水位(写真中央の堤防上で約7 m (TP),写真左側の建物付近で約6 m (TP))に達した.(宮古市,2011年3月11日撮影)

 福島第一原子力発電所と周辺地(下):福島第一原子力発電所事故で拡散した放射性物質の有害性が継続しており,福島県の災害構造は主として津波が発災要因であった岩手県等と異なる.原発(写真上)周辺数kmには,中間貯蔵施設があり,一般市民の立ち入りが禁止されている.福島県内から運ばれた放射能汚染物質入りのフレコンバッグ(黒色,写真下)や分別施設(白い建物,写真中央)等がみえる.原発から約4 km北に2020年9月開館の東日本大震災・原子力災害伝承館があり,その上空124 mからドローンで写真撮影.(瀬戸真之,2021年2月8日撮影)

(説明:岩船昌起・瀬戸真之)

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