地学雑誌
Online ISSN : 1884-0884
Print ISSN : 0022-135X
ISSN-L : 0022-135X
佐渡島の海成段丘をきる活断層とその意義
太田 陽子宮脇 明子塩見 美奈子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 101 巻 3 号 p. 205-224

詳細
抄録

本研究で, 以下のことが明らかになった。
1) 佐渡島には国中南断層系, 外海府断層系の二つの活断層があり, 海成段丘, 河成段丘を変位させている。それぞれ島の概形と平行する北東~南西方向に走る。これらはいずれも逆断層で, 複数のセグメントにわかれる。
2) 国中南断層系では地下の逆断層に基づく撓曲崖とその背後の逆向き低断層崖の発達が顕著であるが, 外海府断層系では, 撓曲崖は海食によって消失している。
3) 平均変位速度は撓曲崖ではほぼ0.1~0.3m/1,000yr.逆向き低断層崖では0.01~0.07m/1,000yr. (例外として0.13m/yr.) である。一つのセグメントの中では中央部で変位速度が大きく, 両端に向かって次第に小さくなる。撓曲崖と逆向き低断層崖の変位速度の分布は同じ傾向を示している。
4) 国中南断層系では撓曲崖, 逆向き低断層崖ともに変位の累積性が見られる。外海府断層系の逆向き低断層崖でも同様である。5) 二つの活断層系は, 単に段丘の局地的変形を起こしているだけでなく, 大佐渡, 小佐渡のそれぞれ南東への傾動をもたらした。この傾動は第四紀中期 (30~40万年) 以降に始まったもので, それ以前の変動様式と異なっている。

著者関連情報
© Copyright (c) 東京地学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top