地学雑誌
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NOAA AVHRR を用いた局所領域における海面温度推定法-日本海における解析例-
景山 陽一西田 眞
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2005 年 114 巻 5 号 p. 739-750

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抄録

広域にわたって生じる環境問題の多くは, 局所的な事象から発生していることが知られている。従って, 地球規模の環境変化を理解するためには, 局所的な解析も行う必要がある。
一方, 目的や解析対象に応じて多種多様なリモートセンシングデータが用いられている。例えば, NOAA AVHRR データは1日に数シーン取得されているものの, 分解能は1.1kmであるため, 分解能に埋もれた局所領域における情報の推定は困難である。従って, 高分解能センサで取得される詳細な情報を低分解能センサで取得されたデータを介して広い範囲に外挿し, 高精度な情報を広範囲・多頻度で推定することのできる手法の開発が望まれている。
そこで本論文では, NOAA AVHRR を用いた局所領域における海面温度推定法を提案する。すなわち, NOAA AVHRR データとランドサットTMデータ (第6バンドデータ) との関連情報を求め, NOAA AVHRRデータから局所領域の海面温度を推定する手法である。提案手法はファジィ回帰分析, ファジイレベルスライス処理, 並びにサブピクセル要素の推定処理から構成され, リモートセンシングデータの有するあいまいさを考慮するとともに, 近傍画素との関連情報に着目し処理を行っている。日本海を対象とした検討の結果, 提案手法はNOAA AVHRRの分解能に埋もれた海面温度情報を精度良く推定可能であることが明らかとなった。

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