地学雑誌
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北ベトナム紅河デルタ東部の水稲耕作地域での問題土壌
春山 成子デイン フンタイルー バンチエム
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キーワード: 紅河, デルタ, 塩類化, SAR
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2006 年 115 巻 6 号 p. 737-749

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抄録

紅河デルタはベトナムの重要な稲作農業地域をなしている。本研究では紅河デルタの東部沿岸地域に位置するハイポン省並びにナムデイン省の水田土壌を取り上げて稲作地域の土地生産性を低下させ, 生産障害となっている問題土壌の分布並びに土壌特性を調べた。当該地域では北部ハイポン省はエスチュアリー, 南部ナムデイン側には紅河本川のデルタが形成されている。各々の異なる微地形は表層土壌中のイオン濃度, イオン吸着率, 電気伝導度のNa+寄与率には違いを与えていることがわかった。ハイポン省の硫酸塩土壌でのイオン吸着率は高く, 土壌中の有機物が吸着率を高めていることが確かめられた。ナムデイン省の塩類土壌ではNa+イオンと電気伝導度は正相関であるが, Ca2+塚オン並びにMg2+イオンと電気伝導度は逆相関を示す。上記2省の水田土壌はともに海水の影響を受けるが, 表層土壌中に含まれるCa2+イオンおよびMg2+イオンとNa+イオンの凝集度には違いがあらわれた。

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