地学雑誌
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黒人の産業
横山 又次郎
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1933 年 45 巻 7 号 p. 312-315

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抄録

古來文明民族が他民族を蔑視して、之に變夷、戎秋その他好ましからざる名稻を附與したことは周知の事で、殊に毛色や皮肌の色の異なる場合には、實際以上に己れを尊大にして、實際以下に他を卑めたことも、今更めて言ふ迄もない。乃ち吾が同胞の如きも、久しからざる以前まで、牛開民として自人の地理書に載つてゐたことは人の未だ記憶する所である。然るに此の劣等民と思はれた者の中に、實は左程でないものゝ少からぬことは、近來次第に明になつて來た。就中人の最も意外としたのは從來攣中の變、未開中の未開として久しく獣類扱ひをされた阿弗利加の黒人中、昔時から種々の産業の開けてゐて、それが今日までその儘傳はつて來てゐることである。此の産業は環境の關係上、原始的なることは免れないが、兎に角文明民の口から覗ても立派な産業に違ひない。乃ち此の件に付いてはフヲープスといふ人が去四月磯刊のヂオグラフィカル・レビウ中精しいことを書いて居る。左に録するはその大略梗概に過ぎない。
黒人發明の産業中、その主なるものと思はれるのは (一) 製鐵業、 (二) 造船業、井に (三) 棉花・ (四) 水稻. (五) カラバシ等の栽増である。

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