地学雑誌
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セシウム鉱物資源
松田 亀三
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1972 年 81 巻 4 号 p. 269-280

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抄録

熱, 光のエネルギーを, 直接電気エネルギーに変換できるセシウムの需要は, 今後の調査研究の成果に侯つ処が甚だ大きい。其結果によつては20年以内に, 或いは現在の世界消費の6倍, 34tに達するかも知れないと謂われる。現在の消費は微々たるもので, 従つてその原鉱石たるポラック石だけを採掘する鉱山は無く, 副産物として回収されて居るに過ぎないが, 1968年の世界生産量20t/年が100t/年を越す様になつて来たのは。研究開発の結果に著しく発展が見られる事を物語るものであろう。セシウム鉱源の探査に甚だ力を入れて居るのはソ聯邦で, 自由世界では考え難い低品位鉱をも処理の対象にして居る様である。ポラックス石はペグマタイト中にのみ産し, 大規模の鉱床は先寒武系内に限られ, カナダBernic Lakeの鉱床は世界最大のものと云える。その随伴鉱物には特徴があり, リシア鉱物特に鱗雲母, 帯青色クリーブランド石を必ず伴う。従つて此等の随伴鉱物を産するもので, 石英があれば, ポラックス石としての再検が必要であり, 更に発見の可能性がある。先ず既存ペグマタイトの随伴鉱物の検討から始める事が, 新鉱床捕捉の端緒となるであろう。

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