地学雑誌
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三陸南部沖の海底地形について
中嶋 逞
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1973 年 82 巻 3 号 p. 136-147

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抄録

この報告は, 釜石の南方から塩釜の南方までの海岸の沖合で日本海溝までの海域を昭和45年8月~10月に約50目を費して, 水路部所属の測量船明洋によつて調査した結果である。調査地域の広さは東西約250krn, 南北約130kmである。報告は地形, 地質について行なう。
調査方法を略記すると, 原図はUTM図法により縮尺20万分1で展開され, ロランC, ロランA, また一部で北海道デッカチェーン, 陸標などによる測位により原図上に船位を求めた。東西方向に主要測線を設け, 原則として142°~30'の線までは3.6km間隔, より沖合は5.4km~7.2km間隔で測量を行なつた。測量船の安全のため岸線には, 約3.6kmの所までしか近づけなかつたことが多い。測深は音響測深器を用い, 音速度の改正, 潮高の改正を行ない, 1,000m以浅は1m単位, 1,000m以深は10m単位の水深値を得, 第1図, 第2図を作成した。エアーガンによるサイズミックプロファイラーにより, 音波探査を行ない, その結果を第3図, 第4図にまとめた。
地域を概観すると, その地形から (1) せまい大陸棚と陸棚斜面, (2) その下位に広がる複雑に入りくんだ深海平坦面の分布域, (3) さらに下位へ海溝斜面と海溝の三つの特徴的単元が認められる。
ここでは, これらの単元別にそこに見られる地形, 地質について地域の全体的記載を行ない, 断面毎に説明を加える。断面線の位置は地形図上にローマ数字で示し, その測点はアラビア数字で示す。断面では深度方向の単位は音の往復の秒数であつて, 水中では, 秒は約750mと換算される。水平方向は船速によつて変化するので一定でないが, 通常状態では垂直方向が約25倍に拡大されている。文中では, 深さは海面よりの秒数を使つて表わす。

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