2017 年 12 巻 3 号 p. 323-336
大規模発電所の取水施設などに設けられるポンプ室のような四面の側壁から囲まれた地中箱型構造物の耐震評価を行うには,構造物と地盤との相互作用を評価し,構造物の各部材に作用する荷重およびそれに伴う三次元的な変形を把握することが重要となる.今回,地中箱型構造物の耐震評価手法の確立を目的とした研究における実験的な検証を行うために,遠心力模型振動実験により側壁下部の一面に開口を設けた地中箱型構造物への作用荷重および変形の評価を行った.各構造部材に作用する荷重を直土圧,周面せん断力および慣性力に分類することで,入力波の段階載荷に伴う各作用荷重の増加およびその収束状況が明らかとなった.また構造物と地盤との相互作用を分析することで,捩じりを含む平面二方向の変形,および斜め方向入力による平面的に複雑な変形となる挙動を把握した.