チェーンを補強材として用いた補強土壁工法として,鋼管を主体とした壁面及び円筒型金網の壁面の 2 種類の補強土壁を開発し,様々な現場で施工を行ってきた。風力発電現場に設置された補強土壁は,仮設の運搬道路においてブレードやタワーなどの重量物を運搬するために重車両が頻繁に往復すること,風車ヤードおいて大型クレーンで風車を組み立てることから,仮設ではあるが重要な位置付けの構造物である。 その施工時の大きな荷重により,補強土壁の変形が懸念されたため,運搬道路と風車ヤードに施工されたチェーン補強土壁を対象に動態観測を 9 ヵ月にわたり実施した。計測の結果,いずれのチェーン補強土壁も出来形管理基準の規格値を満たして施工されており,最大変位量は風車ヤードで最大 24 mm,運搬道路で最大 6 mm と微小と言える値で,顕著な変形は生じていなかった。