2024 年 19 巻 2 号 p. 183-196
既設構造物近傍で大規模な掘削を行う場合,土留め壁の変形やそれに伴う周辺地盤への影響を精度よく事前予測することが重要になる。一般に掘削土留め工の設計で作用させる側圧は,事前の地盤調査結果などに基づき設定した地盤の諸数値から算定され,掘削ステップに関わらず一様に算出されるものであり,実施工時に計測された側圧との比較を行う場面は少ない。本研究では,土留め壁に作用する土圧分布とそれに伴う変位量の関係性を明らかにすることを目的として,実施工における掘削過程を考慮できる遠心模型実験装置を用いて遠心場での掘削実験を実施した。その結果,土留め壁に作用する背面側の土圧は,掘削の進行とともに掘削面以浅において減少することや土留め壁の変形に影響されることが確認された。