抄録
石炭火力発電所で発生する石炭灰は,クリンカアッシュとフライアッシュに大別される。この内,クリンカアッシュは軽量で,せん断強度や透水係数が大きいため,盛土材,路盤材,凍上抑制材,グラウンドの排水材などに利用される機会が増えてきた。また,バーチカルドレーン工法,コンパクションパイル工法,岩盤緑化基材への適用の検討もなされている。しかし,これらへの適用にあたって重要な,クリンカアッシュの物理特性や力学特性などの材料特性を把握する研究は,非常に希薄である。今後,石炭灰発生量の増加および灰捨場の減少は必至であり,多くの分野への有効利用が課題となっている。このため,本論文では,クリンカアッシュの物理特性および力学特性を求めるとともに,地盤材料としての適用性を検討した結果を報告する。